最近読んだ本で、最も気づきがあった本でいえば、やはり、FACTFULNESSでしょう。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
1,600円
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たくさんの人が色んなところで猛プッシュしているので、ここで取り上げるのは気が引けるのですが、
やはり良いものはいい、ので取り上げたいと思います。
この本は、2017年に亡くなったハス・ロスリングという医師の手によるもので、
世界をみるときに、思い込みではなく、事実をしっかりと見よう、
というメッセージが、我々が陥りやすい思い込みの罠を解きほぐす形で提示されていて、
非常に読みやすくかつ、整理された議論で、ダイレクトに学びがあります。
その中でも、僕が注目したのは、我々の脳の錯覚からくる誤解についてです。
もちろん、
世界を発展途上国と先進国というわけ方から、レベル1〜4に分類しよう、という話や、
世界はどんどん悪くなっている、というのは思い込みだ
という話は知識のアップデートしては役に立つけれど、それ以上の意味はありません。
それに対して、例えば、
直線本能に気をつけよう
という学びは、知識のアップデート以上の意味がありました。
例えば、この図は、世界の未成年人口の推移についてですが、皆さま、正解できるでしょうか。
正解はCなのですが、
我々は直線本能からAと思ってしまいがちです。
世界の未成年の人口は横ばいになるんだ、
という知識よりも
我々は無意識にグラフをみたときに直線がそのまま伸びるように感じてしまう、という本能に気をつけなければいけないという学びがより重要だと思います。
そして、このような直線本能というのは、
文化人類学的にみると、
我々は、
不意に物が飛んで来たときに身を守る必要があるために、その軌道を瞬時に予測しなければいけない、
という動物的防衛本能に基づいているわけです。
こういった、世界全体への見方の話と、文化人類学的な話がしっかりと結びついているところが、まさにリベラルアーツの重要性を物語っていますね。
この本では、他にも、パターン化本能だったり、単純化本能だったりと、様々な罠について解きほぐしてくれています。
これらの思考は、もちろん世界情勢について分析するときにも有用ですが、
我々がマーケット分析をするときにも重宝するものです。
ビジネスプレゼンを見てると、突っ込みどころ満載のマーケット分析してる場合がめちゃめちゃ多くて、
プレゼンしてる側は、まぁ我田引水的になるのは仕方ないとしても
聞いている側がまんまと騙されてる、という
救いようのない光景がかなりあるので、
そうなると、もはや戦略の前提が崩れている以上、
どんなに努力しても、
戦略の失敗は、戦術で取り返せない、という古典的ルールに基づいてコケてしまいます。
例えば、
この駅の乗降客数はこれだけ多いので、ここに店を出せば儲かります、という前提の話をしているけど、
この駅の乗降客数多いのは、すぐ隣にある別の路線の駅に乗り換えてるだけで、駅の周りに住んでる人はあんまりいないんじゃない?
みたいな話はいくらでもあります。
顧客のニーズ分析でもこれと同じような失敗はいくらでもあります。
マーケット分析が間違っていると、もはやどうしようもないわけです。
とはいえ、マーケット分析というのは基礎中の基礎でありながら、
そのやり方、というのは色んなところで少しずつ解説されていたりしますが、
陥りやすい罠という観点からの整理がされている本はないので(僕の知る限りですが。。。)
そういう観点からも、この本はビジネスマンの必読書だと思います。
あと、この本で使われてる、まず10の質問して間違えまくらせてあなたは、サル以下ですよ、から始める手法は、今年大流行しそう。笑
追伸、ゴールデンウィークはせっかくの10連休なので、アジアで唯一のレベル1の国ネパール に行ってきます。
2年ぶりですが、今回は大統領に会えるかも。
ネパール関連ビジネスのワークショップやろうかな。誰か来てくれるかな。興味ある人はご一報下さい。