つづき(ファクトフルネスの感想みたいなもの)

前のエントリーでは、話題のFACTFULNESSを紹介する記事を書きましたが、ついでにもう一つマーケット分析の話。

この本に出てくる例では、

ある世界的な生理用品最大手メーカーのマーケティング会議では、

レベル2やレベル3にある国の有経女性数十億人のマーケットをどう開拓するかではなく、

3億人しかいないレベル4の有経女性マーケット向けのニッチな(スポーツジムでの運動用生理用品みたいな)商品開発にエネルギーが注がれている、というのがありました。

これはまさに、世界に対して正しい知識を持とうという文脈なのですが、

起業支援をしている立場からいうと、

そもそも新規事業において、開拓しようとしているマーケットがどれぐらいの規模なのかを理解していない人というのはめちゃくちゃ多いです。

地域で小学生向けの事業をするのに、小学生の数を把握していないとかは論外ですが、よくよく聞くと調査不足でそれに近いレベルの事例はたくさんあります。
もちろん対象顧客の人数だけでなく、そのサービスにあてられるような可処分予算はどれぐらいあるかなども検討しなければいけません。(このときに、このサービスの競合は何かということも掘り下げなければなりません。)

そして、めちゃくちゃ単純な話ですが、

魚のいない釣り堀では釣れません。

もちろん、全く魚がいないということはなくて、そのビジネスを思いついたということは何匹かは魚はいるでしょうが、

5匹の魚のために、50本の釣竿がおろされてる釣り堀で勝負をすべきではありません。

500匹の魚を5人でとれば、どんなに下手でも50匹は釣れるはずです。

釣りの上手い下手以前に、競争率の低い釣り堀を選べるかから勝負は始まっているのです。

競争率の低い釣り堀を狙え、というと、

ニッチなマーケットを狙うということになりそうですが、そうとは限りません。

むしろポイントはマーケットの成長度合いです。

ニッチなマーケットもそこに釣竿が増えれば競争は激しくなります。

むしろ重視すべきは、マーケットの成長度合いです。

これから大きくなっていくマーケットで勝負することが重要です。

次々と魚が増えていく釣り堀であれば、釣り人が増えて来ても、先にいい場所を陣取っていた効果は絶大です。先行者利益というやつです。

たとえば、ハムスターと戯れることができるハムスターカフェ、というのを人口1万人の町で開いてもおそらく成立しないでしょう。魚が少なすぎるからです。

しかし、東京や大阪でやれば成立する可能性は十分にあります。マンションでもこっそり飼えるハムスターの人気はどんどん高まっており、市場は拡大していますが、それでも大都市でなければ釣竿を垂らすに値する魚の数は見込めません。

もちろん、ビジネスにおいては、自分で魚の数を増やす、という仕掛けも重要です。

ハムスターカフェをやるのであれば、ハムスター愛好家を増やすための仕掛けをしていくことも重要です。(比喩が魚ので例がハムスターでややこしいですが。)

もちろん、様々な仕掛けをしたとして、ハムスター愛好家になる人の数はどれぐらいいるのか、ということも念頭におかなければなりません。(少なくとも、小動物が好き、ぐらいの属性は必要ですよね。)

とはいえ、人口減少社会に突入する我が国においては、

拡大していくマーケットを見つけるのは容易ではなくのですが、

盤面を広く見ると、アジアの人口は増え続けています。これを狙うのは定石でしょう。

また国内においても、高齢者の人口は増え続けます。あるいは単身者の人口も増え続けます。
子どもの数は減るでしょうが、一人当たりの子どもにかける教育費が増えれば、子ども向けのラグジュアリーな習い事の市場は大きくなるかもしれません。

まずは自分の事業の対象マーケットはどうなっていくのか、盤面を広くみて、次の一手を検討してみてください。

FACTFULNESSでは、ある町の子どもの死亡率を下げるために医師団が出向いて行ったが、そこで必要だったのは、病院に運び込まれる子どもを必死で治すことよりも母親を啓蒙したり、予防接種の仕組みを整えることだったという例が出て来ます。

経営者は、日々のスケジュールの中で、目の前の子どもを必死で治療することに忙殺されていないか常に自戒する必要があります。

盤面を広くみて次の一手を考える。

この癖をしっかり、しっかりつけたいですね。

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