今晩、青年会議所に入るか迷ってる人とご飯食べるので、
話したいことをまとめるついでに、備忘録ブログ。
こういうのは、あとで振り返ったときに、
あーあのころはこういうこと考えてたのかーってほっこりできるので、皆さんも是非やった方がいいですよ。
さて、
僕は2012年に茨木青年会議所に入会しました。
当時はまだ20代で弁護士としても駆け出しの頃でした。
あれから7年で、右も左もわからなかった僕も、
なんだかんだで、
在籍年数の長い方から数えた方が早い立ち位置まで来たので、
僕の目から見た、青年会議所活動のメリット・デメリットを率直に書きたいと思います。
もちろん、あくまでも個人的な感想ですし、僕の所属している茨木青年会議所にしかあてはまらない部分もあるかもしれないので、そこはご了解ください。
以下では青年会議所のことはJCと呼びます。ジュニアチャンバーの略です。女子中学生がJCと呼ばれる前から青年会議所はJCと呼ばれていました。
ここで、JC的には、これまでの僕のJC内での肩書を列挙するのが御作法なのですが、一般の人には興味ないでしょうから割愛して、
早速、青年会議所の活動紹介と、そのメリット・デメリットの話に入ります。
まず日本の青年会議所運動は、
戦後間も無く
日本の復興は、青年の仕事である。
という志を立てた青年経済人によって歩み始めました。
東京を皮切りに全国各地に誕生し、現在は700弱の組織が、
明るく豊かな社会
をつくるために活動しています。
(要するに具体的な活動内容はそれぞれの、青年会議所によって違います。)
そして、青年会議所の基本的な活動としては、
①月に一度の例会
②月に一度の委員会
というものがあります。
例会とはどんなことをするかというと、
例えば、茨木青年会議所の2019年3月度例会では、
市内の小学生を50名ほど集めて、
東京から講師をお招きしての、
「自分の想いを相手に伝える力を高める」ためのセミナー&動画で確認ビフォーアフター
を行いました。
この月はたまたま、次世代育成のための例会でしたが、
2月はRIZAP✖️茨木青年会議所で意識改革のための例会を行いました。
そして、このような月に一度の例会は、
②の委員会という単位でのチームで計画・準備・設営を行います。
1つの委員会は8名〜15名ぐらいで構成されていて、そのリーダーには、委員長・副委員長という役職があてられます。
この委員会ごとの集まりが、月に一度のペースで行われ、そこでその委員会が担当する例会の計画や準備について話し合いが行われます。(嘘は良くないので正直に書くと、例会の直前などは、月に1回では済まないときもあります。ただ出席を、強制されることはありません。)
そして、この委員会で練り上げられた例会の計画書は「議案」と呼ばれ、
正副理事長会議と理事会での協議・審議を経て、
実際に例会の実施に至ります。
ここのところは一般の方にはなかなか分かりにくいと思いますが、
この、正副理事長会議や理事会
では、非常に真剣な討論が行われます。
これが青年「会議」所、のエネルギーの源泉となるところです。
僕もボランティア団体にいくつも所属していますが、
青年会議所ほど真剣に、徹底的に議論する団体は他に知りません。(たまに他の団体で、急に白熱した討論が始まったと思ったら大抵、JCの先輩同士が議論していた、というのはあるあるですが。笑)
まちのために何が必要か、
もっといい方法はないのか、
メンバーが成長するためにどんな仕掛けが必要か、
費用対効果はどうなのか、
お互いにリスペクトしながらも徹底的に議論します。
そうすると、委員会のほうでは、正副理事長会議や、理事会での議論に耐えられるような議案を作らなければなりません。
単純に、
「最近話題のこのゲスト呼んだら盛り上がりそうやし、人集まりそううやからどうでしょう」
みたいな議案は一蹴されるからです。
これが、JCはイベント屋さんではない、と言われる所以です。
今年は茨木青年会議所は、総務・次世代育成・会員拡大・まちづくり・交流の5つの担いをもった委員会が設置されている、5委員会体制です。
毎月の例会と、事業(例会とは別に、まちづくりのための事業や次世代育成のための事業を年に1度ずつ行います)や、海外のJCとの交流などを含めて
だいたい、1つの委員会には、年間4本ほど、このような議案作成が求められます。
そうすると、だいたい3ヶ月ぐらいかけて1つの企画と向き合っていくわけなので、1年間が終わると、
その中で委員会メンバー同士の非常に強い絆が出来上がります。
これが青年会議所活動の第1のメリットです。
泣いて笑って1つの目標に向かって達成感を味わう仲間の絆というのは、言語化しにくいのですが、高校の部活みたいな感じを感じてもらえるといいかもしれません。
シャンシャン会議して、飲み会するだけの活動では育めない
強い連帯感をもった仲間が毎年10名ぐらい出来ていくわけです。
JCに入ってない人たちからすると、何でJCの絆ってそんな強いんだろうと不思議がられることはよくあるんですが、
そこには、人間と人間のぶつかり合いの中でできた信頼関係があるから一種異様に見えるのだと思います。
JCは40歳で卒業するルールなのですが、
その卒業式(例年12月例会は卒業式をします。)のときに、
「社会人になってから、こんな信頼し合える友達ができるなんて思ってもみませんでした」
って号泣する人がたくさんいます。
もちろんできる範囲で頑張って活動してた人だけですけどね。
(半年に一回ぐらいしか来ない人とかもいます。すごくもったいないと思うけど、その時期のそれぞれの事情もあるので、できる範囲で頑張るのが大事です。)
で、この議案作成を通じたスキルアップ
(自分の計画をたくさんの人に賛同してもらうためにはらどうしたらいいか試行錯誤することがらこんなにも多くの学びを生むのかとビックリします。)
と、一生の仲間づくり
だけでも、充分に、入会の価値はあると思いますが、
それ以上に、青年会議所での大きな学びは、やはり
リーダーシップについてです。
まず、何年かJC活動を続けていく中で、様々な委員会に配属され、様々な委員長、副理事長、理事長のリーダーシップのもとで活動するだけで、
自分の中のリーダーシップについての引き出しがどんどんつくられていきます。
青年会議所では、役職は1年ごとに代わっていくわけですが、
役職上位者だからといって会費が高いわけでもないですし、年齢が高いわけでも、社会的地位が高いわけでもありません。(仕事上の上下関係、学校の先輩後輩などの関係がJC内では逆転することはよくあります。)
そうすると、普通のビジネスのときのように、
お金払っているんだから、指示に従ってください、
とか、
言うこと聞かないなら査定に響くぞ、
とか一切ないわけです。
そのような外部的な圧力なしに、委員会メンバーに、チームの一員として動いてもらうためになどうすればいいのか、
JCで鍛えられるのはそういった真のリーダーシップです。
委員会メンバーさえ、自分の応援をしてくれない人間は、
青年会議所を動かすことはできないし、
青年会議所さえ動かせない人間はまちを動かすことはできない、
という当たり前の原理のもと、
その人のレベルにあったリーダーシップ教育が自然と行われます。
様々なリーダーシップの引き出しを身につけてもらうと、
自分ならどんなリーダーのもとで働きたいか、
とか
リーダーはこれだけはやったらダメだなとか、
自分なりのリーダーシップの取り方が身についたような気になってきます。
そこで副委員長や委員長といった、役職につきます。
そうすると、何もかも思うようにいきません。
委員会メンバーがなかなか時間に揃わない。
例会のアイデアがまとまらない。
自分が1年間を通してやりたいことがメンバーに伝わらない。
結局自分で全部やってしまって委員会メンバーに成長の機会を与えられない。
委員会の取り組みが他の委員会に浸透しない。
などなど、平メンバーとして見えていたのとは全く違う景色が見えてきて、うまくいきません。
でもそれでいいんです。
「青年会議所は失敗できる組織」だからです。
ピーターの法則で、自分の能力以上の役職が回ってくるのが世の常ですが、
ビジネスの世界では、失敗は致命傷になりかねません。
でも、青年会議所では、能力以上の役職について、失敗するのは大いに結構なことだとされています。
そこにまさに成長の種があるからです。
青年会議所が、まちづくりの人材育成機関として、他の追随を許さないのは、
まさにこの失敗を許す組織だからだと思います。
たくさんの失敗の中で、リーダーシップが磨かれていきます。
もちろん生まれながらのリーダーという人も中にはいますが、
そういう人も、10人のリーダーにはなれても50人のリーダーシップでは躓いたり、100人のリーダーシップでは失敗したりします。
(大阪中に29ある青年会議所でつくる大阪ブロック協議会や、近畿中のJCで組織する近畿地区協議会などに出向すると、千人以上の組織に号令をかける機会も出てきます。)
このように、それぞれの器にあわせてリーダーシップの訓練ができるところが、最大のメリットかもしれません。
僕もまだ右も左もわからない頃に近畿地区協議会に副委員長として出向させていただいたときに、
とんでもない、化け物みたいなリーダーシップの人達に間近で接することができて、
脳幹しびれるような感動をしました。
僕もこんな風になりたいと、単純に思いました。
もうそれだけで青年会議所に入ってよかったなと思います。
そして、僕の中で大きな気づきだったのは、役職とリーダーシップの関係です。
普通は、役職をもらうとリーダーシップを発揮するようになる、と思いがちですが、そうではありません。
もちろんポジションが人格をつくるという面は多々あるのですが、
それよりも、
役職とは無関係に、
「この例会は、俺の責任で絶対成功させるぞ!」
とスイッチの入った人はものすごいリーダーシップを発揮します。
そして、そのリーダーシップの発揮の仕方がわかれば、
その人には自然と役職がついてきます。不思議なものです。
これ以外にも、学べることはたくさんあるのですが、
仲間との絆とリーダーシップ教育の2点を強調したいです。
そして、デメリットの話。
デメリットとしては、お金と時間、ということがよく言われます。
お金については、月会費1万円というのは確かに他の団体に比べれば高いかもしれません。
でも、上で書いたメリットの対価としては決して高くないと思っています。
銀行に100万円預けても利子よりもATM手数料の方が高くなる時代です。
自己投資こそ最も効率のいい投資です。
そして、青年のリーダー養成機関として、半世紀以上の歴史をもつ青年会議所という「道場」は、凡百のセミナーよりも、着実にリーダーシップ教育の成果を出せるところです。
月1万円をそこに投資できるかの判断だと思います。
(あとは、リアルな話をすれば、自分で事業やっている人については、大抵の分野のビジネスで、JC人脈からの顧客像で最低でも会費分ぐらいは賄えます。)
そうすると問題は時間です。
上に書いたように、月に一度の委員会と例会に参加していれば、会員としての責任は十分に果たしていることになるのですが、
もうちょっと頑張りたい、と
たとえば副委員長という役職を受けたとします。
この場合は、それなりに負担は増えます。
委員会日とは別に、委員会運営のために委員長と打ち合わせを行ったり、副委員長同士でコミニケーションをはかったりという、役職に付随する負担が増えるからです。
そうすると、例えば事業をやっている人だと、
会社にしわ寄せがいったり、家族にしわ寄せがいったりするわけで、それが辛い、という人もいます。
でも僕は、これはデメリットであり、メリットでもあると思っています。
事業拡大プロセスにおいて一番難しいのは、
経営者が自分でやっていたことを、スタッフに任せていくことです。
これができなければ事業は絶対に大きくなりません。
経営者は経営者にしかできないことに専念しなければいけないのです。
そして、このことは言うは易く行うは難しで、そう簡単ではありません。
任せたスタッフは最初は必ずミスをするからです。
コストばかりかかります。やってられません。こんなことなら自分でやってた方がいいよ、となってしまいがちです。
でもそれでは事業拡大できません。
もちろん、事業拡大は絶対の正義ではありませんが、
あなたが例えば病気になったとき、例えはあなたの家族に何かあったとき、
あなたが働かなくてもある程度の期間、ビジネスが支障なく回っていくようにしておくことは、
あなたのビジネスにかかわる全ての人達への責任ではないでしょうか。
そのための訓練として青年会議所は非常に有効な装置です。
よく、もう少しして時間に余裕が出来たら青年会議所入りたい、という人もいるのですが、
そういう人が時間に余裕ができることはまずありません。
働き方改革同じですね。
生産性を上げて、効率的業務を実現して、残業を減らす、のではなく。
残業を禁止することで、無理やり業務を効率化して生産性をあげるんですね。
青年会議所に入る→成長実感→もっと頑張りたい→時間をつくるためにどうしたらいいか→業務改善→時間捻出→さらなる成長→スタッフも家族もあなたの成長実感
という循環を作れれば理想的だと思います。
この循環をつくるための努力を「修練」と呼んでいます。僕は。
青年会議所は40歳で卒業です。
卒業してからが勝負とよくいわれます。
この修練を経て、青年会議所で培った時間創出術と、リーダーシップで何をするか、
茨木では、官民の要所でJCの先輩が大活躍されているので、
僕らのような現役メンバーは、
本当にこんな活動を続けて成長できるのだろうか、
と疑問を抱く必要がありません。それは非常に有り難いことだなと思います。
僕も後輩にとって、そういう存在になれたらいいなと思いますが、
そこはまだまだ道半ばです。汗