逆ブランディングの恐ろしさ

大塚家具がいよいよ身売りかというところまで来ていますね。

久美子社長の元での新しいビジネスモデル展開がうまくいかず資金流出が止まらない、という構図の解説が多いようです。

じゃあ昔のお父さんの勝久さんが経営してた時代のビジネスモデルに戻せばいいのかというとそういうわけにはいかない。

高級家具を会員制のきめ細かな接客とフォローできちんとした価格で売る

というビジネスモデルは、

結局のところ、

親や、祖父母が、子や孫の独立や結婚や新居といった新生活のために、ドカンと支出するパターンなんです。

そして、買ってもらった側も、

一緒にショールームいったりして、

ちゃんと家具を買うときは大塚家具だと、刷り込んでいく。

このビジネスモデルは、幅広い国民を相手にするわけではなく、売上は頭打ちになるでしょうが、ある程度の富裕層相手に堅実に利益を出していくモデルとしては悪くない。
その富裕層のリストがあるということを利用して色んな横展開をしていけば事業拡大は難しくても会社拡大は可能だったでしょう。

ところが、このモデルを支えていたのは、

親が子に家具を買ってあげ、子は孫にまたその思い出とともに家具を贈る

という幸せな縦の富裕家族像というブランディングだったわけです。

家具を売っていたのではなく、父親が娘の結婚にあたって、

よしお父さんが大塚家具で恥ずかしくない家具を揃えてやろう、

という親としての充実感を売っていたのです。

何が言いたいのかわかりますよね。

勝久氏と久美子氏の経営権をめぐる争いは、ここを徹底的に破壊しました。

大塚家具は親子ゲンカの象徴になってしまった。

このブランド破壊というか逆ブランディングのダメージは大きく、もはや高級家具路線にも戻れなくなってしまった。

というのが今回の大塚家具身売り問題への見立てです。

 

ただ、今回の大塚家具の身売りに関するニュースや評論をみていて感じたのは、

一時期やたら激しかった同族企業への批判論評みたいなものが、かなり減ったなということでした。

国会議員の二世問題に平仄を合わせるように、同族企業批判というのは一時期かなり盛り上がっていました。

ただ、これは多分に感情的な部分も多く、様々な研究で、同族企業の業績はそうでない会社よりも高いというのが出ています。

http://www.biglife21.com/column/5012/

もちろん、業績のいい会社だから親族に継がせるのだという問題もあるのですが。。。

ただ、SD G sなんかがうるさく言われるようになってきて、

これからの企業はより長期的な視点での経営が求められるようになってきます。

※トランプ大統領の四半期決算やめようぜ宣言は実はかなり哲学的な問題を含んでいて、もっと取り上げられていい。トランプがいうことは全部だめだというのは思考停止メディアと言われても仕方ない。

長期的視点での経営という点では、同族企業はやはり強い。

もっといえば、サラリーマン社長は、経営者としての勉強をしてる期間が短すぎる、という問題もあって、これは働きながら勉強する環境と習慣が、日本にはまだまだ出来ていない、という話につながるんだけど、

これについては書きたいことがかなりあるのでまた別記事で。

This entry was posted in ブログ. Bookmark the permalink.