予測不能という予測

AIの話をしたり、

歴史の話をしたり、

未来に向けてのビジョンを作ろう

みたいな話をしていると、

シンギラリティについてどう思うかとか、

AIは人間の仕事を奪うかとか、

歴史を踏まえて、未来予測についての話をして欲しい、

という御依頼がたまにあります。
(特に就活生向けにというのが多い印象)

でも、残念ながら、

この国は、あるいは世界は、将来こんな風になります。

というようなお話はできません。

僕はおそらく、未来予測についての本を読んでいる部類でしょうが、

未来予測の本を読んで学んだ一番大きなことは、

未来予測は、あたらない

ということでした。

今店頭にならんでる未来予測の本を読むと、確かにそれっぽく感じるのですが、

過去に書かれた未来予測の本を読むという一見不毛な作業をしてみると、このことはよくわかります。

例えば、最近、

あと〇〇年で石油が枯渇する

という話を聞かなくなったと思いませんか。

石油の話は長くなるので詳しく書きませんが、

石油が〇〇年で枯渇するかどうかは、未来予測にとってかなり大きな要素でしたが、

そこはほぼ全外れしたわけです。

もう一つ象徴的な話をするならば、

自動車が発明されるまでの間、

個人移動のメジャーなモビリティーは、馬であり、馬車でした。

蒸気機関が発明され、

その波がモビリティーマーケットにも来たとき、

全ての研究者が、今のような自動車の開発に凌ぎを削ったわけではありません。

当時の資料(そんなに昔の話ではないので大量の資料があります。)の中には、かなりの数の

蒸気機関で走る馬型機械の設計図が残っています。

(ワイルドワイルドウエストでそんなんでてきましたね。あんな感じ。)

 

現代を生きている我々からすれば

機械仕掛けの馬車が町中を走ってる図というのは

想像しづらいですが、

当時の人々は、真剣にそんな未来を描いていたわけです。

昔のことだと笑うことはできません。

例えば先日、空飛ぶタクシーが開発されるかもというニュースがありました。既に試作機完成しているとのこと。

https://japan.cnet.com/article/35123329/

もうすぐ自動車道路は空中に移管され渋滞もなくなるかもしれません。

我々が生きている世界は、唯一決められたレールを歩んでいるわけではなく、

様々な可能性の中で、ありうる一つの形に過ぎないわけです。

(レヴィ=ストロースと同じことを偉そうに言いました。すみません。)

もちろん全ての未来予測が無意味だというつもりはありません。
未来予測の本を読むことは様々な業界の本当の最先端事情とその総合知に触れることのできる素晴らしい勉強です。

前に紹介した、ライフシフトもある種の未来予測本ですが、全ての日本人が読むべきだと思います。

大切なことは、

台風が東から西に行く時代に、

未来がどうなるかを予測して人生という賭け金を注ぎ込むよりも、

未来は予測不能なことが起きる、という未来予測をしっかり持った上で、

それでも生き延びることのできる力を身につけること、

だと思います。

という話を就活生にはします。

そして、生き延びるために必要な力というのは、実は非常にベーシックな力で、案外どの時代も変わらないものだよという話もします。

でもこの話は就活生だけでなく、

僕たち経営者にとってもすごく大事な視点だと思います。

もうすぐ夏休みの方や、もう夏休みの方も多いと思いますが、

長期の休みはじっくりと緊急ではないが重要な課題に取り組みたいですね。

 

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