先日、ビジョンの意義として書いたように、
スタートアップにおいては、
「偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人々をバスに乗せる方法をとったわけではない」
(ビジョナリーカンパニー2 ※この本は全てのマネージャーにとっての必読書だと思います。)
ということをまず再確認しておく必要があります。
どんな卓越した事業計画があろうとも、それを実現するスタッフに実力がなければ、事業はうまく回りません。
逆にスタッフに実力があれば、事業計画がそこそこのものでも普通に儲かります。そういう企業は実はいっぱいあります。
(うまいうどん屋とか、美人女将の惣菜居酒屋とか。世の中に生き残ってる企業がみんな凄いビジネスモデルをもってるわけではありません。)
これからの時代、環境の変化はどんどん早くなるのに対して、人間はそんなに早く変われません。
誰と働くかは、どんな仕事をするかより重要です。
とはいえ、中小企業、特にスタートアップにおいては、一緒に働いてくれる人を探すだけでも大変なので、それをさらにふるいにかけるというのは難しいのが現実です。
まずは自分と家族で頑張るというのが常道でしょう。そして仕事が増えてきたら仲間を増やしていく。
このときに大事なことは、後手後手に回らないこと。成長できない事業はここで躓く。
もう少し売上があがって余裕が出たら仲間を増やそう、もう少し軌道に乗ったら募集かけよう、と思ってるうちにどんどんチャンスを逃していきます。
そもそも、仲間を増やさずに「もう少し売上あげたり」、「軌道にのせたり」するとができるならそもそも一人で回せる仕事量なんです。
そして、実際に大きな仕事がきて、一人で回せなくなってはじめて仲間を増やしておかなかったことを後悔して慌てて募集をかける。
ところが、いい人材はそんな簡単には見つからない。でも手が回らず妥協して採用し、いい人が採れないと不満をもらす。
失敗するスタートアップのゴールデンパターンです。
まずはあなたの周りで、一緒に働きたい人リストをリストアップしてください。
その人達と共に働けるタイミングがあれば少しぐらい無理しても事業に参加してもらいましょう。
故事を一つ。
その昔、石田三成は、浪人中だった名将島左近を自分の禄高の半分を分けるからといって、家来にします。
結果的に島左近は、「三成に、過ぎたるものが二つあり、島の左近と、佐和山の城」と歌われるほど活躍し、秀吉の一官僚に過ぎなかった石田三成を、家康との天下分け目の関ヶ原の合戦を行えるところまで支えあげたのです。
もちろん、全く根拠もないのに、いい人いっぱい集めたら儲かるはず、と無責任に人集めをすればいいということではありません。
事業の成長を見越しながら常に先回りしていい人材を確保しましょうという話です。常若ですね。
押さえておかなければいけないことは、事業を産み育て、建て替えながら事業を続けていくことは、そこにある目に見えない精神性を守っていくためであり、
その常若というあり方の根源は
結局のところ、そこで働く人であるということです。
精神性は人に宿るものだからです。
せっかく戦国時代の故事を持ち出したので、かの戦国最強武将、武田信玄の名言を紹介します。
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」
どこまでいっても人の問題だと、僕は思います。
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