このブログを再開してはや半年ぐらいですが、読んでいただいてる方が結構増えてきて、
それに伴って
ビジネスモデルの可視化と再構築
というテーマに興味もってもらえる人も増えてきたように感じています。
このテーマはマーケティング業界全体の関心がいってるところなので結構類似テーマのセミナーも多いんですが、
具体例の紹介が圧倒的に少ない、という印象があります。
もちろん僕もクライアント企業のビジネスモデルを公開するとかはできないのですが、
ビジネスモデルの重要性というところを体感していただくためには、やっぱり具体例をたくさん聞いてもらうというのが大事だと思うので、セミナーや勉強会ではできるだけ具体例を提示するように心がけています。
その中で、結構知られているようで、意外に知られていないセブン銀行ATMの事例を今日は紹介します。
セブン銀行はATM専門の銀行として、
全国のセブンイレブンはじめセブン&アイ関係各所でATMサービスを24時間提供しているので、皆さまご存知かと思います。
このマイナス金利時代に、ATM業務に特化することで圧倒的収益をあげているセブン銀行なんですが、
実はあのビジネスモデルは、
単純に、24時間明るいところにATMあるから便利、
という話じゃないんです。
まず誰でも気づくのは、セブン銀行のATMって普通の銀行のATMと違って通帳入れたり、小銭入れたりできないですよね。
あの辺のややこしい設計構造を削ることで、普通は一台800万円ぐらいするATMが、セブン銀行の場合一台200万円ぐらいで設置できるらしいです。
〔もっといえば、普通の銀行の夜間ATMは強盗対策でかなり頑丈な構造にしていて一台2000万円ぐらいのも多いらしいです。〕
とはいえ、これは設備投資の段階の話で、実はフローの段階でも超効率化があるんです。
それは、事業者向けの、
売上金入金サービス。
これがすごい。
専用カードをつかって入金すると、色んなATMから入金があってもその会社の本部や本社が管理する1つの口座に即座に反映してくれて一括管理ができるようになっています。
これはもともとセブンイレブン自体の売上を入金して夜間強盗などのリスクを減らすために考え出されたものみたいですが、
夜間営業してる企業や事業主〔居酒屋チェーン、ガソリンスタンドや、あるいはタクシードライバーなどなど〕にとっては、銀行の夜間金庫を利用するよりも最寄りのセブンイレブンでさっと入金してしまえることのメリットは大きく、どんどん利用が拡大しています。
でも、
へー、そんな便利なサービスがあるんだね、
という話じゃないんです。
この売上金入金サービス、
その手数料収入以外に、セブン銀行にとってはめちゃめちゃメリットがあるんです。
それは、
ATMに現金をほとんど補充しなくていい
ということ。
通常のATMもそうですが、特にコンビニのATMは、ほとんどの利用者が現金引き出しなので、この現金補充コストというのは非常にネックになるところなのですが、
セブン銀行の場合この売上金入金サービスがあることで、現金補充は月1回程度で済んでいるそうです。
24時間利用可能というリソースを、利用者へのチャネルとして使うだけでなく、コストカットにも利用する
素晴らしいビジネスモデルですね。
ビジネスモデル再構築を考えておられる方の何かヒントになれば幸いです。
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蛇足ですが、上に書いていてわかるように、ATMビジネスは日本の現金至上主義から生み出されたビジネスなので、これこらのキャッシュレス時代にはかなりの変革が迫られるでしょうね。
1つのビジネスモデルの賞味期限が短くなってきていることの好例かもしれません。