叩き台つくり力

僕はビジネスモデルの構築についての相談に乗る方が得意なのですが、

起業からまるっと相談にのるとどうしても幹部人材の育成についての相談にのる場面がでてきます。

最近は特に、経営者のみなさんの視点が、

どうやって優良人材を採用するか、

というところから、

どうやって人材を人財にしていくか、

という人材育成プロセスへと移ってきているように感じます。

これ自体は、非常に正しい方向性だと思います。

そして、幹部人材の育成の場面において、僕からアドバイスさせていただくのは、

「叩き台をつくれる人」を育てましょう、という話です。

学歴が高く優秀で、マニュアルを見ながらの業務は器用にこなし、企画書に対してのリスク指摘なども極めて適切に行う

が、いざゼロから業務推進のための叩き台をつくる力がない。

という幹部候補社員というのは珍しくありません。

でも、中小企業にとってビジネス拡大のエンジンとなれるのは、

「叩き台をつくれる人」です。

全体を見渡し、前例を参照しつつ、現状の問題意識を反映させた、75点~85点ぐらいの案を、ざっと勢いでつくる力が、「叩き台をつくる力」です。

完璧にできることはほぼ有り得ないかわりに、会議の場では欠点を指摘され、最終的には全然違う方向へ仕事が進んでいくこともよくあります。

労多くして、実り少ないようにみえる仕事です。

でも、だからこそ、叩き台をつくるエネルギーこそが会社の推進力になります。

叩き台をつくる中で見渡した全体像、指摘を受けることによる視野の広がり、説明能力、叩き台をつくったことによる責任感、

叩き台をつくったことによって付随的に生じる全ての能力が幹部としての基礎力になっていきます。

そういうわけで、経営者の方には、

幹部候補社員の中に「叩き台をつくる力』を意識して養っていただきたいと思います。

とにかく、期待を寄せる社員には、叩き台を作らせましょう、どうやったら早くクオリティーの高い叩き台が作れるのかを意識して学ばせましょう。

また、叩き台をつくる力を人事評価の中で不当に低く評価していないかももう一度見直してください。

経営者の意識の置き方と目標設定の仕方で人材育成プロセスは見違えるほど変わります。

その話はまたそのうち。

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