人工知能にどんなイノベーションが起きたのか。

最近、AIと経営についての話を色んなところでさせていただいています。

6月ごろに、僕がプレーヤー登録させていただいている大阪イノベーションハブで研究者や有識者を呼んでのパネルディスカッションなども予定しています。(詳細は近日公表します。)

僕はばりばりの文系人間なので、人口知能のプログラミング的観点からの話は全くできません。

ただ、逆に文系の人向けに、AIの進化の何がすごいのか、どこがこれまでと違うのか、の話を最初にさせてもらうことにしています。

論理的思考については、人間はもうコンピューターに勝つことはできません。

将棋ではトッププロが破れ、囲碁も時間の問題でしょう。

でもこれはそんなに驚くような話ではなくて、自動車に乗れば、人間が全力失踪するよりも速く走れます。ただそれだけのことです。

イノベーションを起こしたのは、ジェフリー・ヒントン氏が考案した

ディープランニング

という技術をもとにしてGoogle社の研究チームが開発したグーグルブレインというプログラムでした。

このプログラムは、パターン認識と呼ばれる分野のプログラムで、

1000万枚の写真の中から、

人間から猫の顔の特徴を教わることなく、

猫の顔だけを抽出することに成功したのです。

ディープラーニングの詳しい説明をここでする能力は僕にはありませんが、

〔興味のある人はとりあえずWikiってね。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0

これは今までの

すごい計算機としてのコンピュータから

まさに人工知能としてのコンピュータへの進化の瞬間といっていいと思います。

なぜこれがそんなにすごいことなのか、できるだけ噛み砕いて説明しますね。

例えば、あなたは、虹の色は何色か知っていますか。

7色ですね。

でもこれは世界共通ではありません。

https://matome.naver.jp/m/odai/2136348699728273201

アメリカでは6色、アフリカでは何と4色らしいです。

どれが正解というわけではありません。無限の色素のグラデーションの中で、どこまでを一色として切り取るか、というのはそれぞれの文化だからです。

このことはあらゆる物体についていえます。

例えばカラスは白いかといわれると、

これはカラスというものの定義に、こうこうこういう特徴のある黒い鳥、というのを入れてしまえば、白いカラスはいないことになるし、

こうこうこういう特徴のある鳥、というだけであればその特徴があれば白くてもカラスということになるわけです。

つまり、我々が見ている世界というのは、色んな物体があって、そこに我々が名前をつけていったのではなくて、

混然一体とした、何とでも切り分けようのある世界に、我々が名前をつけていったことによって整然と今の世界が形成されているわけです。

ものがあって言葉があるのではなく、言葉をつくることでものが浮かび上がる。

つまり、この物体を切り分ける能力こそが、文明を形成できる能力だといっても過言ではないわけです。〔ちなみに聖書には、「はじめに言葉ありき」というまさに正鵠を射た警句があります〕

さて、まわりくどい話をしてきましたが、

なざディープラーニングが革命的か、お分りいただけたでしょうか。

それは、人間が、猫とはこういうものだというインプットを与えずとも、猫を分類して抽出できた、ということは、

これすなわち混沌の世界を定義によって切り分けるという、文明の根源となる力をコンピュータが手にしたといえるからです。

ディープラーニングが今後どのように発展していくのかは予測できる段階にはありません。

たとえばディープラーニングは、オセロのルールを教えなくても、オセロの対戦画面を認識させるだけで、独自にオセロのルールを学ぶことができます。

これが発展してくれば人間が気づいていないさまざまなルール〔例えば遺伝子のルール、発病のメカニズム、ビジネスモデルの法則性〕をディープラーニングが見出すことも可能かもしれません。

もちろん飛躍しすぎです。

ただ、AIの活用についての議論が今までとは全く違うレベルのステージに入った、ということは皆様に認識しておいていただいた方がいいと考えて、セミナーなどでも噛み砕いて説明させていただいています。

長々と書きましたが、結構大事なところなので、御容赦ください。

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