わからない、こそチャンス

何のバイオリズムかわかりませんが、

最近手に取る本が面白い本ばかりで、

ついつい読書に時間を割いてしまってブログの更新を怠っておりました。

僕らのような仕事は、知のゼネラリストたることが求められるので、

実務書ばかり読んでいるわけにもいきません。

よく、経営者の悩みを解決するのがコンサルタントだ、

というフレーズを聞きますが、

それは半分の真実で、

実際は、

経営者の悩みを整理して、経営者が自身を客観的に観察できるようにサポートする

というのがコンサルタントの仕事だと思っています。

経営者の視点を引き上げる。とでもいうのでしょうか。

例えば

平社員は、係長の視点から何が見えているのかがわかりません。

もちろんわかる平社員もいますが、そういう平社員はすぐに係長になります。

係長は課長の視点からの世界が見えません。

課長は部長からの視点をもてません。もてる課長はすぐ部長になります。

そうすると、組織というのは、基本的に、自分の地位以上の視点からものを見れない人達の集団ということになります。

(経営者が部下に対して、経営者感覚をもて、とわめくことの構造的不毛さはここにあるし、ピーターの法則もだいたいそういうこと。
https://www.google.co.jp/amp/s/employment.en-japan.com/tenshoku-daijiten/14773/amp/

このことは、組織の頂点に立つ経営者にとっても無関係ではなく、

売上1000万円の会社の経営者の視点と

売上1億の会社の経営者の視点は違います。

売上10億の会社はまた違います。

スタッフ1人の会社の経営者の視点とスタッフ10人の会社の経営者の視点は違います。

平社員は課長の視点でものを見れない、ということは理解できるのに、

1億の会社と10億の会社視点が違う、というのは理解できない人が結構います。

でもあなたの会社のが売上1000万だったころと、1億の今とでは見えてる景色が違うでしょうと言われると、大抵の社長は納得してくれます。

逆にいうと、

平社員が課長になるためには、課長の視点を獲得することが必要だし、

経営者が会社を大きくするためには、今より大きな視点を獲得しなければなりません。

昔ながらの手法に、カバン持ちというのがあります。

O J Tと言い換えてもいい。

カバン持ちというのは単にカバンをもって立っていればいいというのではなく、その人が何を考え、何をみて、なぜそんな行動をするのか、一挙手一投足をトレースするところに意味があります。
知らないうちに大きな視点を身につけさせる先人の知恵ですね。

他に手っ取り早い方法としては、別組織に入れ組織ごっこさせる、という手段もあります。

JCなんかはその典型例で、

40歳卒業というルールの中で、いわば早送りの組織ごっこを体験させ、

組織の中でのふるまい、リーダーシップ、フォロワーシップ、そのトータルとしての大きな視点を獲得することで人づくりを行います。

(創業者ファミリーが組織ごっこに加わるメリットとしては、逆に小さな視点を獲得するというのもあります。上から理不尽に怒鳴られる経験は、経営者の立場ではなかなか体験できません。)

さらには、

自分の思考を揺さぶる人との出会い、本との出会いによって

自分の視点のタガを外す、ということも重要です。

そのときに大事なことは、

自分の了解不能な範囲に飛び出ること。

いわば背伸びすることですね。

子供のころ、あなたはテレビから流れてくる言葉の全てを理解する前に、テレビにかじりついていたはずです。

読めない漢字がたくさんある本からたくさんのことを学んだはずです。

この人が言っていることは、

いちいちよくわからない、ほんまかそれみたいなことが多い、

そんな人とたくさん話しをしましょう。

この本何言うてるかほんまわからん、めんどくさっ

という本も読みましょう。

すぐに理解できることはすぐに使えなくなりますが、七転八倒して獲得した視点は、ずっと使えます。

自分の思考を揺さぶり、視点を引き上げるのです。

コンサルタントは、経営者にとって、視点を引き上げるサポートをする存在でなければいけないし、

経営者は社内の人事や、育成において、常にこの

視点はどこにあるのか

の視点を持ち続けてほしいと思います。

追記

本の紹介を忘れました。

最近思考が揺さぶられた本を一冊だけ。

明治十年 丁丑公論・瘠我慢の説 (講談社学術文庫) 明治十年 丁丑公論・瘠我慢の説 (講談社学術文庫)

712円
Amazon

 

福沢諭吉のあまりメジャーでない2タイトル。

西南戦争に散った西郷を非難する世間を痛烈に批判する、丁丑公論

徳川家臣でありながら、明治政府の禄を食む勝海舟と榎本武揚の生き様を難じる、痩我慢の説。

特に後者は、

立国は私なり、公にあらず

という名文から始まり、

あの勝海舟に対して、

まさに、もっと長い目でみて視点をもっと引き上げろと迫る、

なぜ福沢諭吉が今も近代日本最大の思想家の一人と言われるのかを端的に示す大迫力論説です。

掌編なので是非ご一読あれ。

 

 

 

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