前回は、あなたの顧客は誰なのかを考えよう、という話をしました。
そこでは、できるだけ顧客像をリアルにリアルに、絞って絞って考えようということを
書きました。
例えば、
駅前の居酒屋が戦略を練るとき、顧客を「気軽にお酒を楽しみたい全ての人」とかに設定した時点でうまくいきません。
気持ちはわかりますけどね。顧客ターゲットを絞るって本当に勇気のいることなので。
もっと具体的に。
会社帰りに上司と部下がちょっと一杯のために寄る店なのか、
地元の友達とわいわい飲み会を楽しむための店なのか
一人でゆっくり考え事したいときに使う店なのか
と掘り下げていきます。
もちろん切り口としては、こういう使うシーンだけでなく、
「日本酒マニアが集まる店」
とか
「阪神タイガースファンが集う店」
とか、顧客の趣味属性の切り口もあります。
どういう顧客をターゲットにしたいのか、という話ですから、ある意味なんだっていいんですが、とにかく具体的にということですね。
実際にコンサルティングするときは上の例でもまだまだ抽象的なので、
もっと絞り込みます。
ただ、当然ですけど、顧客ターゲットを絞る、というのは顧客を絞るという意味は
ないので注意してください。
日本酒マニアのための居酒屋に地元の仲間とわいわいやりたい人が来てもいいわけです。
さて、前回の復習が長くなりすぎました。
今回は、あなたの商品やサービスのライバルについて考えます。
あなたがどんなに価値あるサービスを提供していたとしても
あなたの顧客の時間やお金は有限です。
あなたは、顧客からあなたのサービスを、他のライバルを出し抜いて選んでもらい
お金と時間を投入してもらわないといけないわけです。
そのためには、敵を知らなければありません。
あなたのライバルは誰でしょう。
ここで顧客は誰かを考え抜いた成果が出るのです。
あなたの店の顧客ターゲットが、地元の友達とわいわい飲み会をやりたい人達だとしたらあなたのライバルは、隣のおしゃれイタリアンレストランではありません。
敵はコンビニです。
コンビニで酒とおつまみ勝手誰かの家で呑もうという話になっては負けです。
こう考えればわかりやすい。
あなたの狙う顧客は、どんな欲求を充たしたいのか、
その欲求を他に充たしてくれるものはなんなのか。
たとえば、スポーツ雑誌のライバルは誰でしょう。
スポーツ新聞ではありません。
スポーツ雑誌の顧客ターゲットはスポーツの結果を速報で知りたい人ではないからです。
そこをターゲットにすればスポーツ新聞に勝てません。
そしてスポーツ新聞はYahoo!ニュースに勝てないので部数が落ちています。
スポーツ雑誌の顧客ターゲットは、スポーツについて速報ではなく、
深く掘り下げた記事やインタビューを求めている人です。
ではそのライバルは?
深い考察については、ブログかもしれません。
インタビューについてはテレビの情熱大陸みたいな特集番組かもしれません。
スポーツ雑誌の企画をするならこれらのライバルに対して、どう優位に立つか、
ということを考えないといけないのです。
このことは、実は、大企業が好んで使うシェア何%という話と直結します。
なぜなら、シェアというのは、自分の設定した市場の中で、自社が占める割合のことなので、これはまさにライバルは誰か、という話なのです。
スターバックスのコンセプトは、家でも職場でもない、
第三のリラックス空間を提供するというものです。
そうだとすると、市場シェアを考えるとき、マクドナルドや吉野家をいれた
外食産業シェアなんか考えたって仕方ないわけです。
飛行機会社が建設会社と売上げ比べても意味がないのと同じです。
スタバの場合は、同じように、非日常のリラックス空間を提供しようとしている他社を
ライバルとして市場を設定しないといけない。
たとえばエステサロンや、漫画喫茶。
さすがにリッツカールトンは言い過ぎですが。
スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。 本当のホスピタリティの話をしよう (角…/KADOKAWA / 角川書店