まことコンサルティング

ICOの法的規制のあり方についての覚書

実は柄にもなくインフルエンザで寝込んでおりまして、

今週はじめから何となく体調悪かったんですが、熱は上がり切らず、

まぁ風邪の魁かなと思ってたところ、

木曜の夕方に一気に発熱して、余裕のインフルエンザでした。

だいたい治ったのですが、明日まで家にいなさいということで、読書したり書類つくったりしながら、だいたい寝ています。

で、最近仮想通貨絡みのベンチャー起業のご相談が多いので、少し、法律家としての、見解を書いておきたいと思います。

おそらく、

うちの事務所が関西では最も早い段階で仮想通貨交換業の登録申請代理業務を始めた事務所の1つで、それなりにノウハウと実績を積んでいるからだと思うのですが、

ICOを考えてるのですが、仮想通貨交換業の登録をしないといけませんか、

という問い合わせがかなりあります。

この点については金融庁もはっきりしたことを言ってくれないようなので、かなり情報が錯綜しているようですね。

結論からいうと、

仮想通貨交換業を取得せずにICOをすることには、かなりのリスクがあります。

という言い方が正しいと思います。

一口にICOと言っても、色んなパターンがあるので、あらゆるパターンがアウトだというつもりはありませんが、

資金決済法上の、『仮想通貨』には、ビットコインのようなある程度流通性のある典型的な暗号通貨であるいわゆる1号仮想通貨とは別に、この1号仮想通貨との(不特定の者と交換できるという意味で)流通性があるものも、2号仮想通貨として、規制の対象になっています。

そして、この資金決済法が、資金決済システムの安全性(マネーロンダリング防止も含め)確保という目的をもつことからすれば、

仮想通貨への該当性自体は広く捉えることになるでしょう。

そうすると、

たとえば、発行時点では、どこへも上場しておらず流通性のない草コインであっても、

そう遠くない将来における上場を約束しているような場合(この約束なしにICOで資金調達するのはかなり難しいと思われますが。)、

やはり2号仮想通貨として規制の対象とされる可能性はかなり高いのではないかと思います。

。。。。

というお話をすると、

いやいや、現にこういうコインがあって全然規制されてないじゃないか、

みたいな質問がでることもあるのですが、

日本の行政庁は、あらゆる違反、違法事例を直ちに全て摘発するというシステムを採用していません。

例えば、近年次々と地方議員の政策調査費の使い方が問題になっていますが、

別に法律が変わったわけではありません。

昔から本当は違法だったことをマスコミや世間かま問題にしだしたために摘発するようになったというだけです。

同じように、今、何も言われていないからといって、それに行政当局がお墨付きを与えているわけではないと思った方がいいです。

なのでICOするときは、仮想通貨交換業に登録するかはともかく金融庁とよく協議しながら進めましょう。

。。。。。

とはいえ、じゃあ、仮想通貨交換業を取得して、ICOをします、

となっても、

その発行しようとする通貨について、金融庁が、

いわゆるホワイトリストといわれる、

登録業者が売買交換可能な仮想通貨リストに載せてくれるのかというと、

かなりハードルが高いといのではないかというのが今の業界の一般的な見方だと思います。

そうなると、やはり仮想通貨交換業に登録などせず、資金決済法上の仮想通貨ではないという解釈(?)をして、ICOしてしまおう、という思考過程を辿るパターンが多いのかなと思います。

________________________

そして、このような現状を踏まえて、

おそらく政府は、近いうちにICOに規制をかけてくるでしょう。

そこで、せっかくなので、ICO規制のあり方について、僕の考え方を覚書しておきます。(何の影響力もありません。)

①仮想通貨交換業の中で、a売買・交換、b媒介(取引所)、c代理・取次という三業態についての登録要件を明確に切り分ける。もしくはd新規仮想通貨の発行または発行代理業務の業態を想定し、登録要件を切り分けること。

現状では、株取引でいうところの、証券会社と投資銀行と、証券取引所が同じくくりの中で扱われ、登録要件のチェックリストの中で分岐していくという取り扱いは非常に不明瞭といわざるを得ない。
それぞれの業態ごとに、守られるべき利益は微妙に異なっており、それに伴って規制のポイントを異なってくるはずであるから要件も異なるものにするべきである。

②ICOにおけるコインの中身(いわゆるホワイトペーパー)については市場の判断に委ねるべき

ICOの発行を有価証券の発行とパラレルに考えるのであれば、ホワイトペーパーについては、

a コインの(急に消えたりしないという意味での)安全性・流通性確保可能性、つまりブロックチェーン等のシステム技術上確かかという部分と

b コインが何の価値を担保するものなのか(ビジネスモデル的側面)とを

冷静に切り分けて判断し、bのビジネスモデル的側面については、極力市場の判断に委ねなければならない。

新株発行の許可にあたってその事業の成功可能性を政府が吟味すべきではないのと同じである。

もちろんこのaとbを切り分けるのは非常に難しいのであるが、

同じように難しいのは、市民に対して、

ICOの発行を金融庁が認めたからといって、決してそのコインが(投機的、あるいは投資的な意味において)有望だということを意味しない

ということを周知徹底することである。

【余談だが、現在でも金融庁が登録取引所において取引を認めているコインの数は非常に少ないのであるが、これもあまりにも保守的に判断しすぎるがために逆に金融庁の責任を重くしてしまっている嫌いがある。取り扱い銘柄の判断はあくまでも取引所に委ね、金融庁はそのガイドライン作成に関与すべきである。】

③トークン保有者には、無議決権株式の株主と同様の権利を認めるべき

IPOとICOの違いは、IPOの場合、株主となったものは、株主としての権利つまり会社の支配権の一部を手にすることができ、自分が払い込んだ財産の処分方法について一定の監督権を有することになるのに対して、ICOの場合、トークンが発行元への監督権と結びついていない場合がほとんどである。
つまり、ICOの場合、発行元が調達した資金を濫用した場合に株主総会を通じてのコントロールというルートが断たれているのである。しかし、現行会社法のもとにおいては無議決権株式の発行も認められており、そこでは株主は、株主総会を通じてのコントロールを放棄しているといえることからすると、ICOにおいて、トークン保有者が株主総会的なものを通じて発行元を監督できなくとも、それは当局が過度に介入する理由にはならない。
とはいえ、投資家保護の観点からは、無議決権株式の株主に認められている、帳簿の閲覧や、代表訴訟の権利などは認められてもよいと考えられる。

④金商法(厳密には政省令)の改正は早期に行うべき

現行の金融商品取引法では、集団投資スキームに該当するためには、2条2項5号で、

投資家が、出資または拠出したものが

金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)

である必要があるとなっており、仮想通貨で募集する分には、この規制の対象とならないのではないかとも読めてしまいます。

金商法の目的である投資家保護の観点からすれば、この点については極力疑義のないように(事後に業者が摘発されることは結局投資家保護にならないので。)、

速やかに、政省令を改正して、資金決済法条の仮想通貨を含むことを明確にすべきである。

ながながと、専門家以外に興味のない議論をしてしまいました。

次からは真面目にゴルフの話を書きます。

仮想通貨がらみのベンチャー起業で、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

モバイルバージョンを終了