大塚家具・ビジネスモデル

あなたの事業のビジネスモデルを見直すお手伝いをします、といわれても

ほとんどの経営者にとっては

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という感じではないでしょうか。

ビジネスモデルという言葉自体、意味不明だという方もおられるでしょう。

商売とは生き物です。
ニワトリをイメージしてください。我々はコストという餌を当てながらニワトリを育てつつ、毎日卵を産んでもらわなければなりません。

餌についてだけ研究しても、卵についてだけ研究しても、トサカについて、羽についてだけ研究しても、ニワトリは育てられません。

ニワトリの全体像、ニワトリの生態について理解しなければいけないのです。

そう、このニワトリの全体像こそが、ビジネスモデルなのです。

論より証拠。今回は、話題の大塚家具について勝手にビジネスモデルコンサルティングしてみましょうか。
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まず、大塚家具のこれまでと現状を軽く分析してみましょう。

教科書的な話をすると、企業の仕事は①コスト管理、②カスタマーリレーション(顧客との関係づくり)、③製品イノベーションにわけられます。

でも、どれを重視するかは市場や企業の成長段階によって異なります。
③→②→①の順で必要になってくるわけです。
安定期に入るとこの3つのどれに注力するかでビジョンの方向性が見えてきます。
大塚家具はどうかというと、一見、会員制ということで②カスタマーリレーション重視にみえるけれども、

顧客との接点である従業員の教育に特色があるわけでもなく、

中間経営計画の中で充実した人材基盤をアピールしてるけど、中身をよく見ると、インテリアコーティネイターの資格もっている人が何人います、とかしか書いてなくて、

かなりしょぼい。

これではカスタマーリレーションを支えられない。

じゃあここまで大きくなった大塚家具の売りはどこなのかというと、

ずばりコスト管理。

高品質の家具を大量に仕入れてコストを下げるとともにセット売りで利幅を調整する問屋ビジネス。

本来BtoBでやるビジネスモデルを会員制という衣を着せることでBtoCで実現したところにビジネスモデルとしてのイノベーションがあったわけです。

なぜこのビジネスモデルが立ち行かなくなったのか。

久美子社長の経営計画分析では、中間価格帯層が低価格帯層にいってしまい、低価格帯での戦いではニトリやIKEAに負けているという分析なんですが、

これは違うと思います。

家具という商品を売っていると考えると、大塚家具とIKEAは競合ですが、

売っている価値、という視点でいえば全然競合していないんですね。

イケアが提供している価値は、休みの日に家族で、カップルで、友達でイケアに遊びにいって、気にいった家具があれば買って帰ってつくってシェアするというエクスペリエンスの価値。

大塚家具のように、家具という物が欲しいから店舗にいくという層が提供している価値とは違うわけです。

だから、不振の原因をIKEAやニトリの対等に求めると見誤る。
大塚家具が不振なのは、新居を構えるにあたって代々ずっと使えるいい物をまとめて買いたい層、たとえば次男・三男の新婚さんカップルが減ったところにあるのではないか、とかそういう仮説を検証した方がいい。

と、まあケチつけてばっかりでも仕方ないので、大塚家具のビジネスモデルを新しく組み立てていきます。
さて、ビジネスモデルの組み立ては、ビジョンの点検から始まります。

大塚家具の久美子社長が発表した新生大塚家具のビジョンを見てみましょう。

<日本の「住」は成長市場となる>

「住まうこと」に必要な全てを確保する企業を目指す

というのが、大塚家具のビジョンのようです。

これは悪いビジョンの定め方の典型例です。

ぼんやりしている。
「住まうことに必要な全てを提供する企業」、というのは、商品・サービスの話をしてしまっていて、商品を売ることによって、どんな価値、世界観を提供するのかがはっきりしない。

例えば久美子社長があるインタビューで言っていた
「住む環境によって人がつくられる」

というのすごくいいことをいっている。

この世界観をビジョンにしたらいい。

ここからビジョンを再定義すると、たとえば

「お客様の人生の価値を高める住環境を提供する企業を目指します。」とかどうだろうか。

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提供する価値、という観点からビジョンを再定義するとこの後のビジネスモデル構築が非常にやりやすくなるので、ここは大事。提供価値ベースまでの引き上げ。
ここではこれまでのビジネス体験から引き出すことが大事。ダイアログワークが有効。
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ここでは仮に今思いつきで考えた

「お客様の人生の価値を高める住環境を提供する企業を目指します。」を新ビジョンとしてみましょう。

ビジョンが決まったら次は顧客を考えます。

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※ここからはビジネスモデルキャンバスの考え方をベースにして話をしますが、もちろんビジネスモデルキャンバスを知らない人でも読んでわかるようにしていますが、ビジネスモデルキャンバスについてはビジネスモデルを考える上では共通言語のようなものなので、関連書籍を一読してみてください。機会があればここでも解説します。
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まずは、顧客から考えてみよう。

顧客が誰か、というのもさっき定めたビジョンから考えないといけない。

ビジョンからみれば、大塚家具の顧客は、

住環境によって人生の価値、あるいは従業員のパフォーマンスを高めることができると信じている人達。

高所得層、高学歴層、クリエイティブ層、劣悪な住環境の中で育ってきた人もターゲットだろうか。

もちろん意識的、無意識的かは問わない。

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ここで、会社としての顧客層がどうかはこのぐらいの大企業であれば、このぐらいざっくりしたものでいいのだけれど、具体的な一つ一つのビジネスということであれば、提供価値も顧客ももっと具体的に想定することになる。特に、顧客については、固有名詞をあげられるほど具体的に想定することで、ビジネスモデルのリアリティがぐっと高まる。
ペルソナワークとか、色々なツールがあります。
ここでは具体的な事業には入らず、大塚家具全体のビジネスモデルを考察するにとどめます。

次はリソースについて考えます。経営資源のこと。

大塚家具のリソースはなんだろうか。
もちろん、いい家具を安く仕入れることのできる圧倒的な仕入れ網、メーカーとのネットワークをあげることができる。

そして、それ以上に、これまで大塚家具で家具を買ってきた「ずっと使えるいいものをどーんと買いたい」と考えたことのある人たちのリストもある。

ここで、リソースを考えるときのコツは、提供価値と顧客をつなぐためのリソースであることが重要です。

財務諸表上の資産や、他の企業に比べてここが優れている、というのは、ここでのリソースとは呼べない。
あくまでも価値を顧客に提供する上でのリソースである。

そして、もちろん、このリソースがない、ということもありうるということ。
客観的にみてみることが大事です。
もしリソースがなければそれを提供してくれるキーパートナーを探せばいいだけの話。

で、リソースの考察が終われば、ここから事業活動内容や顧客チャネルや顧客との関係性(カスタマーリレーション)を考えていくんだけれど、これらについては、多様な選択肢がありうるので、一つ一つ決めてしまわず、色んな可能性をどんどんブレストしていきます。

たとえば、住環境に意識の高い層の膨大な顧客名簿があるので、それを利用して、
教育×家具というテーマで新事業を考えてみてもいい。知育家具とか。

大塚家具の中で育った人たちを集めて話を聞いたり交流したりする場をつくってはどうだろうか。
それをどんどん発信していく。物語をつくる。家具と生きる、ということの価値を伝えてマーケットを広げていく。

10年前に買ったその机に、この新しい家具をドッキングさせると古くて新しい家具ができますよというのはどうだろうか。リストの最大限活用とプレミアムというベアゴスティー二戦略。(このように色んな成功企業のビジネスモデルをストックしておくと発想の幅が広がります。学ぶことは真似ることからはじまります。)

4人家族用で買われたその家具、2人暮らし用に、あるいは高齢者用にリノベーションしますよ、というのもいい。工務店とのコラボで新規顧客も開拓できる。ずっと使うということの価値にストレートな戦略。

イージーオーダー家具というのもいいんじゃないでしょうか。パターンオーダースーツのビジネスモデルを参考にして。人間工学の研究者(キーパートナー)とコラボできる。
工場の暇なときに作れば安くてオリジナルの高級家具。コンセプトは、他ではないあなたが本を読むための書斎。
仏壇を売るのもいい。ずっと使えるいいものを。何十年前に結婚の際に大塚家具で新居をの家具を揃えた次男、三男は仏壇をもっていない。
家具を選ぶのが死ぬほどめんどくさいという層に向けての、家具を選んであげるサービス。いい家具を選ぶ手間を売るサービス。
間取りを伝えておくと(これすらめんどくさいので、不動産会社と提携してほしいというニーズもありそう)、一週間後に大塚家具の店舗にいくとおすすめのレイアウトで家具をおいといてくれる。
BtoBでも需要はある。むしろこっちの方があるかもしれない。

とまあ顧客とリソースをもとにビジョンに向かってブレストしてみましたが、

ざっくりまとめると
家具×教育
家具×リノベーション
家具×パターンオーダー
家具×ソムリエ

をテーマに事業展開したらどうだろうか。

というように、ビジネスの全体像をみていく、というのがビジネスモデルのコンサルティングなのです。

ごきげんよう。

<おまけ>

大塚家具のビジネスモデルの提案してみましたが、先日の会長と社長の親子喧嘩によるダメージは計り知れません。
いい家具に囲まれて住むと、素晴らしい人間が育ちますよ、って言われても、その結果がこの親子喧嘩じゃないかと突っ込まれると反論できないですから。
その意味では、ここからの広告戦略は圧倒的に重要になってきます。
「家具を通じての親子の和解」これをテーマにしたCMをじゃんじゃん流すしかない。
電通さん、博報堂さん、頑張ってくださいな♫
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